両国ゼミナール

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2016 / 09 / 16  16:18

【今日の化学】未定係数法の数学的意義

希硝酸に銅を入れると、硝酸銅(Ⅱ)と水と一酸化窒素が発生します。

この化学反応式を立てることを考えます。

 

化学反応式を書くにあたっては、それぞれの化学式を知らなければなりません。

係数はあとで考えるとして、化学式を並べると以下の通りになります。

 

Cu HNO3 CuNO H20 + NO

 

ここで矢印の左と右とで原子の個数が違うことに気付きますね。

原子の個数を合わせようと、係数をいろいろ変えてみても、なかなか見つかりません。

 

こういう場合、正しい係数を見つけるために使うのが未定係数法です。

係数を文字に置きます。

 

aCu bHNO3 cCuNO dH20 + eNO ・・・(1)式

 

矢印の両辺における各原子の個数が等しいという方程式を立てます。

Cu : a = c

H : b = 2d

N : b = 2c +e

O : 3b = 6c + d + e

 

以上の4つの式を立てることができます。 

ここで、変数が5つ、式の数が4つ であることがわかります。

数学をよく理解している学生は変数が5つならば、式が5つなければ解けないという数学の常識に気付きます。

ここで数学をもっと詳しく理解している人は 式が一つ足りないならば、各変数間の比が求まるということに気付きます。

 

実は、これだけの条件で化学反応式を完成させることはできます。

具体的に示すと、

a = c

b = (8/3)c

d = (4/3)c

e = (2/3)c

 

すべての変数をcを使って表すことができるのです。(※)

これを(1)式に代入し、両辺をcで割り、3倍すると化学反応式が完成します。

 

しかしながら、変数を比で表すことを苦手とする学生はたくさんいます。

 

したがって、各原子の個数が等しいという方程式に1式追加します。

Cu : a = c

H : b = 2d

N : b = 2c +e

O : 3b = 6c + d + e

a = 1とする

 

これで式の数と変数の数が等しくなったので、安心して解くことができます。

実は、どの文字を1にしても構いません。

もっと言うと、1でなくても、2にしても、3にしても構いません。

この理由はあとで説明します。(※※)

 

ここで、変数が分数になっても不安になる必要はありません。

化学反応式の両辺を何倍しても構わないからです。

ここで各変数の値は

 

a = 1

b = 8/3

c = 1

d = 4/3

e = 2/3 

 

となります。

これらの値を(1)式に代入すると

 

Cu (8/3)HNO3 CuNO (4/3)H20 + (2/3)NO 

 

こうなります。

一般に化学反応式の係数はもっとも簡単な整数比で表すので、両辺を3倍します。

 

3Cu 8HNO3 3CuNO 4H20 + 2NO ・・・(2)式

 

このようになります。これが答えです。

 

各係数は化学反応における物質量の比を表しています。

したがって、(2)式は以下の2式のようにいくらでも書くことができます。

6Cu 16HNO3 6CuNO 8H20 + 4NO 

9Cu 24HNO3 9CuNO 12H20 + 6NO

 

このいくらでも書くことができることが、数学的に(※)で示した比で表すことができることと同じ意味を持つわけです。

 

各係数が比で表されているところに、一つの変数の値を与えることによってすべての値が決まります。

 

ここで与える変数の値によって、さまざまな解が得られますが、結局、係数をもっとも簡単な整数比にするという作業を行いますので、与える変数の値が何であるかは任意なのです。

 

これが(※※)の答えです。

 

ふつう、こんなに詳しく書いている参考書はありません。

とにかくa = 1にしろ!と書いています。

 

これらのうんちくがいるのかと言う人もいるかもしれません。

たしかに必要があるかと言えば、この数学を知らなくても、問題は解けます。

 

しかし、数学の基本的な感覚を身につけることも重要です。

 

リオ五輪の閉会式を皆さんご覧になりましたでしょうか。

 

僕は日本の演出に強烈な感動を覚えました。

 

そうだ!日本は技術の国なんだ!

 

そのように再認識しました。

 

未定係数法を教えるなんて、ものすごく地味な仕事ですが、その仕事も技術立国日本の礎になっていると考えれば、非常に誇りのある仕事に思えます。

 

一人でも多くの学生に微分積分、運動方程式、熱化学方程式を教えて、微力ながら我が国の発展に貢献していこうと思います。

2017.06.23 Friday